道を歩いていると、醤油屋の店主が店の前で腕組みして、何か考え込んでいる。側に巨大な醤油瓶があり、ラベルに「特級醤油」と大書されている。
「ご主人、どうしたんすか?」
「あぁsollaさん。この瓶だけど、実は間違ってコーラを詰めちゃって……売り物にもならないし、よかったらタダで持っていきなよ」
「えっ! いいんすか!」
自分は大喜びで瓶を担ぎ、店主に礼を言って帰路へついた。
数メートルも歩かないうちに後悔しだした。
瓶は凄まじく重いし、冷静になってみると別にコーラは好きじゃなく、普段もめったに飲まない。この瓶だって洗って返さなきゃマズいだろう。うわ面倒くせぇ、普通にペットで買う方が楽だった……そこまで考えて、さらに嫌な事に気付いてしまった。
(……これ冷蔵庫入んないじゃん……)
巨大な瓶はますます背にのしかかり、道行く人の怪訝な眼に晒されながら、自分はよたよたと歩いていった。